【連載小説】トワイライトブルーを待ちながら 第6話「BELOVED」
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※注意:この小説の主人公をはじめとした登場人物は偶然にも私と周辺の方々に似ているところもありますが、全くの架空の人物です。

オレが結婚生活なんてみんな想像できないかも知れないね。

少なくとも数年前のオレには想像もできなかった。
もう一生独身かな。と思ってサラリーマン時代新入社員のときから入っていた生命保険解約してしまったよ!掛け捨てだからほとんどお金は返って来なかったけど。
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結婚生活は頑張ってるよ。
嫁はアイドルやってるからレッスンやら握手会やらライブやら撮影やら仕事柄時間が不規則なこともあり、家事のうち炊事、洗濯、掃除はオレがやっている。

あれ?炊事、洗濯、掃除ってほとんどじゃね?
そんな苦労も、嫁が「いつも美味しいもの作ってくれてありがとう〜」ていってくれると吹っ飛んでしまうんだ。

しかし堅物のオレの実家両親には『嫁が実はアイドルで〜』なんてふたりとも言えるわけもなく。。
まあ、最終的にはそのことがきっかけでオレたちは両親とうまくいかなくなった。
「どうしても彼女と一生一緒に生きていきたい」頭を下げたオレに母親は「バカじゃないの」と言い放った。父親はカネの話しかしなかった。
結局、オレたちは夜逃げ同然で実家の隣の高級住宅街の億ションを棄てて県外に引っ越し、仕事も変えた。
もちろんパパラッチ対策というのもある。

愛のために全て棄てたと言えばカッコいいのだろうが、現実はそんなに簡単なものではない。
先生と呼ばれていた人間が一夜明けたら周りはみんな年下なフリーターの世界で、収入も一桁減った。楽器も千枚を超えるCDコレクションも棄てた。

なにひとつ不自由のない暮らしを捨てて慣れない仕事についているけど、ふたりなら何も後悔することはなんてない。

しかし、家事やって仕事やって、転職したばかりでお金もないから更にバイトを入れたりとオレはいつしか常になにかに追われる生活をしていた。メジャーアイドルってヤツでもアンダーメンバーじゃそんなに給料もでないしね。

転職前の余裕のあった頃はどこにいくにもふたり一緒で、バンド練習にいくにも嫁を寝かしつけてからでないとひとりで外出させてもらえないほどだった。
『スマン。諸事情で30分ほど遅れそうです。』ようやく寝かしつけた嫁が絡めた腕からそっと抜け出しながらスタジオに急いだものだ。

そんなバカップルなふたりが徐々にすれ違いだしたのはこの頃だったのかも知れない。
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ある日滅多に鳴らないオレの携帯が鳴った。電話に滅多にでないはずのオレがつい出てしまったのは偶然だろうか。
「あんたの奥さん浮気してるよ。」
は?誰?訳わかんないし!

夜勤が続いたりして、同居しているのに会えない日が続いたりもした。

思えばどこかですれ違ってしまったのか。

まあ浮気者だろうがオレの気持ちは揺らがないがな!

とはいうものの
夕暮れの迫る街並みをアテもなく歩きながら、オレは明日からの憂鬱なふたりの生活を思い途方にくれていた。
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(次回最終回)

読者アンケート
連載関係なく個人的にすごく聞きたいのですが
浮気ってどこからが浮気ですか?
あ、小説の人物は架空ですから(*´∀`*)💦

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